2012年9月16日日曜日

「ブラックジャックによろしく」の二次利用をフリーに関する雑感

ブラックジャックによろしくや海猿で有名な漫画家佐藤秀峰さんが、ご自身の著作である「ブラックジャックによろしく」の二次利用をフリーとしました。

まずは
漫画onWeb:佐藤秀峰 から抜粋してみます。
二次利用完全フリーとは、商用・非商用の区別なく、作品を複製し公衆送信し、また、どのような翻案や二次利用(外国語版、パロディ、アニメ化、音声化、小説化、映画化、商品化など)も認めることを指します。


原画データを使用して、日本国内に限らず世界各国で書籍を発行しても構いません。

アプリ化してデータを販売することも、アニメ化、映画化、テレビドラマ化を行ない商業作品として上映することも、関連グッズを制作して販売することも、同人で二次創作を行なうことも、あらゆる作品の二次利用をどなたにでも認めます。

そして、作品の二次的著作物について、僕と有限会社佐藤漫画製作所は原著作物の著作権を行使しません。

ご利用に際して、事前にご連絡は必要ありません。
ロイヤリティ他、報酬は一切要求いたしません。
ご自由に作品をお使いいただければ嬉しいです。


実は私は今まで佐藤氏の作品を読んだことがありませんでした。そこで改めて漫画onWebに登録して読んでみました。がーん!感動!!なぜ今までこれを読んでいなかったことを後悔するほど。日本の医療が考える問題に深く切り込んでおり、心底震える
素晴らしい良作品です。またタイトルにブラックジャックを使っている所から十二分に著作権の考えたにリベラルである事もうかがえます。これだけ社会的意義がある作品をフリーにする事の意味は大きいと思います。ちなみに漫画onWebも氏が運営をされています。


で、その氏のインタビューがとても面白いです。


*映画は70億円超ヒット! 『海猿』の原作者にはいくら入るのか?

漫画家・佐藤秀峰さん

なお『特攻の島』連載にあたって、佐藤氏は芳文社としっかり執筆契約を結んだという。本人も「他にはこんな漫画家いないですね」と話す通り、出版業界では 執筆にあたって書面をかわす慣習がない。これが漫画家と出版社の間でたびたび報酬額や著作権をめぐってトラブルを起こす火種となってきた。『ブラック ジャックによろしく』を連載していた当時、講談社からの理不尽ともいえる仕打ちを告白した佐藤氏だけに、その苦い経験を生かしている様子がうかがえる。

これだけ実力のある方の問題提起は大きいですよね。以前から感じていた事ですが、こういった交渉事には米英で一般的な代理人が入るシステムの方がいいと思う。
日本ではマネージャーは多いけどエージェントはいない。特にマンガや小説家には。その分先行投資をしてくれたりしている場合も多いけど。すでに陽の目をみてい る実力作家の交渉代理人つまりエージェントを雇うって感覚は日本ではなぜ普及しないんでしょう。出版社側との面倒を避けているんだろうか。

日本でエージェントシステムが普及しているのはスポーツ選手くらいか。またカメラマン、ヘアメイク、などフリーが多い業種ではマネジメントって言ってるようですが、特に仕事をとって来ない場合も多いのでエージェントには近いとは思います。
とはいえ単純にギャラと条件だけを交渉するエージェントって感覚はあまりなさそう。タレントやモデル事務所に至っては、おっとこれ以上はもう言えない...
本来エージェントは交渉しかしないので、そう言う意味では交渉からスケジュールさらには営業までこなす日本のマネージャーのほうが守備範囲ははるかに広い。でもそのために専門知識は少ない場合も多い。ある程度条件の相場ができている業種(カメラマンやモデルの広告契約など)はそれでも良いと思います。小説家や漫画家には少ないですね。原稿料、原作料、キャラクター料、商品化権など、媒体、国でも違いますから難しいですよね。交渉と法律の専門家としてのエージェントという存在が必要になってくるのではないでしょうか。代表者としてレップ(Represent)でもいいんですけどね。これも日本にはないですが。レップとエージェントの明確な差は業種に寄っても違うのでちょっと説明が難しいですね。

FB上では大沢オフィスが近いのではという指摘をいただいたので調べてみると大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦の三名とマネジメント契約をし二次使用を含む諸々の交渉契約事に携わっているようです。


Q:結局のところ、大沢オフィスって何なんですか?
答え
:何なんでしょうね。作家の個人事務所はけっこうありますが、
複数の作家がマネージメント契約を結ぶ形で所属する事務所というのは、
今のところ他に例がないようです。
(大沢オフィスの公式HPより抜粋)

また中田ヒデや為末大などのスポーツ選手のマネジメントで有名なサニーサイドアップ
とかもが進出してきそうとの指摘もありました。海外契約にも強い同社なら交渉事には強そうです。

漫画や小説をこよなく愛し、映画、TV、アニメ、キャラクターなどなど無限の可能性がひろがる創造物を生み出す原作者の側に立って仕事をするというのはとても意義がありそうです。ちょっと真剣に考えてみよう。

著作権に関しては以前こんな事も書いています。

ルイ・ヴィトン・ガンダム、マリオ浮世絵、水彩画ブレードランナー、そしてジブリ飲み会、、、

電子書籍であれば全巻漫画onWebで読めますが、やっぱり手に取りたいという方はどーぞ。私的にはかなり色々と考え込まされました。


なにげに相当オモシロイです。小説家を目指す方は是非




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